笠原恵実子
 笠原恵実子が制作の場をニューヨークに移してから10年あまりになる。日本で注目され始めた初期においては、主に彫刻的な表現を用いていたが、その後様々な表現手段を手にし、ヴィデオやパフォーマンスの形をとることもある。どんな表現をとろうとも、その目は、身体や性差、それらを包み込む社会や、そのシステムに向かっている。その分析的な姿勢と同時に、あるいは裏腹に、常にそこにはある官能的な美しさが存在する。

 エディション・ワークスで制作したマルチプル作品「MANUS-CURE」は、1050色のマニキュアがポリエステルフィルムに塗られ、その小さなチップが30ページに及んで、アルファベット順にマニキュアの名前とともに整然と配置され、鏡のようなステンレスのコスメティックな箱に納められている。作品を見たときの視覚的な美しさは、1050色ある一つ一つのマニキュアが美しさを追求して生産された製品であることに由来し、それは現代に限らず、歴史的に生産され続けた女性の美を顧みることとなる。
 DREAM MASTER 1995
 大理石 93.4x66.6x33.3cm

 写真: Christopher Smith 
 UNTITLED -Slit #1- 1995
 大理石、水、漂白剤 34.3x48.6x22.8cm

 写真: Christopher Smith
 UNTITLED -Double Urinal- 1993
 大理石、水、漂白剤 各24x19x19cm

 
 
 


MANUS-CURE 1998
東京都現代美術館でのインスタレーション風景
写真: 坂本 真理
 STRUCTURE #9 2001
 つけまつげ、紙、糊 101.5x82cm

 
    STRUCTURE #9 細部拡大
 
UNTITLED -Three Types- 1993
木、布、スタイロフォーム、ステンレス、シリコン 71x77.5x165cm
写真: 末正 真礼生 
UNTITLED -Three Types-
細部拡大-ベッドの上
写真: 末正 真礼生
PINK #7 1996-7
デジタルプリント 127x152.5cm
 
PINK #7 1996-7
栃木県立近代美術館でのインスタレーション風景

写真: 平方 正昭
LA CHARME#1 2001
人工毛髪、合板、布、DVDのモニター上映 直径172.7cm x 7点
 
  LA CHARME #2 2001
  人工毛髪、合板、布、
  DVDのモニター上映 直径117cm
   LA CHARME #2 2001
   左の作品のDVDより
   DVD上映時間は20分
   LA CHARME#1 2001
 
略 歴
1963
1988
1990
1991
1994
1997
2003
東京生まれ/日本
多摩美術大学大学院美術研究科修了
アジア文化カウンシルの招きでニューヨークに滞在
カルティエ現代美術財団アーティスト・イン・レジデンス・プログラム
文化庁芸術在外研究員としてニューヨークに滞在
ポーラ美術振興財団在外研修
ニューヨーク美術財団より奨学金
   
主な個展
1986
1987
1988
1990
1991
1992
1997
2001
2005
画廊パレルゴン/東京
ギャラリー射手座/京都
ギャラリー山口/東京
ルナミ画廊、コバヤシ画廊/東京
ギャラリーHALS/東京
コバヤシ画廊/東京
Immaculate Fabrication  ダイチプロジェクト /ニューヨーク
Pink  ホワイトボックス /ニューヨーク
Offering  グラーツ民俗学博物館/オーストリア・グラーツ
   
主なグループ展
1987
1988
1989

1990

1990



1991




1993
1995

1996

1997


1998

1999
2000

2001




2002




2003


2004

2005

TAMA VIVANT'87  シードホール/東京
第8回ハラアニュアル  原美術館/東京
第3回神奈川アートアニュアル  神奈川県民ホールギャラリー
現在時制展3-アルカディアへのステップ  ギャラリーαM/東京
ヨーロッパ・メディア・アート・フェスティバル・カタログ
笠原恵実子+モニカ・ブランドマイヤージョイント展−浮遊するものさし  スパイラル/東京
記号の森・現在の美術  IMPホール/大阪
土の造形  栃木県立美術館
第26回今日の作家展  横浜市民ギャラリー
日本美術の80年代  フランクフルト・クンストフェライン他ドイツ、オーストリア巡回
箱の世界  水戸芸術館現代美術ギャラリー/茨城
90年代のアートシーン−ネオモダニズムの4元素  なんばCITYホール/大阪
ハイブリッドガーデン  ビギ・アート・スペース/京都
ゾーンズ・オブ・ラブ  東高現代美術館、東京他オーストリア、ニュージーランド巡回
キャビネット・オブ・サインズ  テート・ギャラリー・リバプール他イギリス、スウェーデン巡回
空間・時間・記憶  原美術館/東京他メキシコ、カナダ、アメリカ巡回
不安の時代  パワープラント/トロント・カナダ
日本の現代美術1985-1995  東京都現代美術館
アジア太平洋トリエンナーレ  クイーンズランドアートギャラリー/ブリスベン
Now Here  ルイジアナ/コペンハーゲン
トポスの復権3  ヒルサイドギャラリー/東京
揺れる女/揺らぐイメージ  栃木県立美術館
日本の現代美術展  国立現代美術館/ソウル
テイストと探究-1990年代の日本美術  国立近代美術ギャラリー/ニューデリー他
笠原恵実子+Donald Baecher  エディションギャラリー/ニューヨーク
身体の夢  京都国立近代美術館、東京都現代美術館
第3回光州ビエンナーレ 光州・韓国
GENDAI - 日本の現代美術  ウジャズドウスキー現代美術センター/ワルシャワ
メガ ウェイブ - 第1回横浜トリエンナーレ  横浜
Truancy  アート&アイディア/ニューヨーク
Rags to Riches  (巡回-2003)
Made in Asia  デューク大学美術館/デュラム・アメリカ
サイティング 3人の日本人作家   ホワイトボックス/ニューヨーク
Chat @ the MIMOCA  丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/香川
Contemporary American Paper Artists  コロンビア大学/シカゴ
A Cabinet of Curiosities  ニューヨーク市立図書館
Oral Fixation  バード大学文化研究所美術館/アナンデール・アメリカ
Reflex/Reflejo  アート&アイディア/メキシコシティ
SUPER YOU  ダニエルシルバースタインギャラリー/ニューヨーク
Emiko Kasahara at ART & IDEA room  スコープ/ニューヨーク
Formed to Function  ジョン ミッシェル コーラー アートセンター/シボイガン・アメリカ
オークランドトリエンナーレ  オークランド・ニュージーランド
シドニービエンナーレ  オーストラリア
ドイツ銀行コレクションの25年  ドイツ・グッゲンハイム美術館/ベルリン
日本の知覚  クンストハウス・グラーツ(グラーツ美術館)/オーストリア

   
パブリックコレクション
京都国立近代美術館
東京都現代美術館
東京ビッグサイト
栃木県立美術館
原美術館/東京
イヴ・クライン財団/アメリカ
クイーンズランドアートギャラリー/ブリスベン
ストゥファング財団/リヒテンスタイン
ピーター・ノートン財団/ロス・アンジェルス