リトグラフ《石版石による》
cloud chamber I / cloud chamber II
2026
Noe Aoki
青木野枝初の石版画作品『cloud chamber I』『cloud chamber II』。
ANOMALY(東京)で2026年1月17日より開催された個展「青木野枝 版画展 1997-2026」にて発表されました。
「クラウドチャンバー」というタイトルは、放射線を測定するための最も古い装置である「霧箱 (きりばこ)」から着想を得てつけられました。目に見えないもの、そこにあるのに見えないもの。そこにないのに見えないもの。見えないものを大切にしてつくりたい。そんな思いが込められた作品です。
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描画風景 |
Offering/Hyogo
2025
Noe Aoki
兵庫県立美術館のコレクションとして2025年1月、美術館の屋外4階「風のデッキ」に設置された青木野枝による鉄の彫刻作品《Offering/Hyogo》。
阪神・淡路大震災から30年を迎えるのを機に、震災を忘れないためのモニュメントとして公益財団法人伊藤文化財団が同館に寄贈しました。
「風のデッキ」は、人だけが歩く回廊ではなく、六甲山からの風と、海からの潮風が音を立てて吹き抜けていく場所。
海と山の間にあるもの、空と山の間にあるものとして、風や光の動きを表現したいと、直径2.8メートルの鉄の球が12メートルにわたって3つ連なる彫刻作品が制作されました。
タイトルには「捧げもの、供物」という意味が込められ、震災の犠牲者の方々、また全ての生きるものたちに対して捧げる気持ちでつくられました。
彫刻作品の設置に伴い制作されたのが、同名のタイトルを冠せられた銅版画2作品《Offering/Hyogo I》《Offering/Hyogo II》です。
本作は、彫刻作品とともに兵庫県立美術館に収蔵され、2025年1月から4月に開催の「コレクション展Ⅲ 阪神・淡路大震災30年『あれから30年-県美コレクションの半世紀』」にて発表されました。
エッチングで描かれた無数の円の重なりが、彫刻作品のネガとポジのような形を表しています。
その形の内と外には、彫刻《Offering/Hyogo》の鉄の円の内部を駆ける風と同じ風が吹き抜け、彫刻から生まれた銅版画《Offering/Hyogo》もまた、彼方と此方の間にあるものとして、生きているわたしたちの記憶を空の上とつなげてくれるようです。
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彫刻《Offering/Hyogo》展示風景
版画《Offering/Hyogo Ⅰ,Ⅱ》展示風景 |
hikari no yama
ひかりのやま
2019
Noe Aoki
青木野枝の銅版画シリーズ「ひかりのやま」。
2019年、三つの美術館(長崎県美術館、霧島アートの森、府中市美術館)にてそれぞれ独立した個展が開催されました。
それぞれの美術館の空間のために新作の彫刻作品が制作され、そして次の美術館で同じ作品が展示される場合もその空間によって変化し続けました。
「ひかりのやま」はそれら彫刻作品の現在をダイレクトに描き出したドライポイント5作品です。
そのドローイングの率直さが魅力的であるとともに、鑑賞者の視点や見方によって空間の見え方やものの在り方が変化し、青木の立体作品を平面の中で疑似体感するかのようです。
六花亭札幌本店ギャラリー柏にて2019年11月より開催された青木野枝展「ひかりのやま」にて発表され、府中市美術館の「雲と鉄と山と」展でも展示されました。
Plasmolysis
プラズモリシス
2015
Noe Aoki
青木野枝の銅版画シリーズ「 Plasmolysis」(プラズモリシス)と木版画シリーズ「桃符」(とうふ)。
銅版画シリーズ「 Plasmolysis」は、カーボランダムという技法を用いた立体的で物質感の強い作品と、主にエッチングの線とトーンの表現による作品に分かれています。
タイトルの「 Plasmolysis」(プラズモリシス)は「原形質分離」という意味です。立体作品で制作されている「原形質 (Protoplasm)」シリーズとの関連により名付けられました。
生物の原初の形であるその「原形質」が変容し、細胞壁から分離浮遊し、大きな循環の中に消滅してゆく、そのような生命の流れを思い起こさせます。
※ カーボランダム技法
技法としては1960年代にアメリカで生まれ、特にミロ、クラーベ、タピエスなどスペインの作家が多用。
カーボランダム(炭化ケイ素)という、サンドペーパーの研磨剤として用いられている非常に硬い粉を接着剤に混ぜたり振り掛けて銅版に固着させる。
筆触が銅版の上で立体的に残り、その形が刷りとられ、そしてカーボランダムの粒子の細かさによって、明暗が変化する。
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作家コメント
アトリエの近くの川が Y 字になっているのだが、思いがけない方に急カーブして流れていっている。
川は、決まったところに流れていくだけではないのだ。
そんなことを思いながら版画をつくっています。
A etching series “Plasmolysis” and a series of woodcut prints “Toufu”.
A series of etchings “Plasmolysis” consists of three “carborundum” and three etchings.
The carborundum technique creates the three-dimensional feeling as relief. And the etchings shows line drawing effect.
The title of this series “Plasmolysis” means the phenomenon that the protoplasm separates and floats in the cell wall.
Presently, Aoki makes a series of sculpture works that have the title “protoplasm”.
And when she make these etchings, she imaged a kind of transform of protoplasm.
※ The “carborundum” technique
“Carborundum” was invented as a etching technique in 60’s in USA. Then it was loved and used by Spanish artists such as Miro, Clave and Tàpies.
The carborundum is the abrasive black powder that you can find on the sandpaper.
The adhesive is painted with brush by the artist on the copper plate. Adhesive contains and/or was sprinkled carborundum (silicon carbide) powder on top.
The brush strokes remain as relief on the copper plate and you can print those shapes. And you can get variable tone depending the grain size of carborundum.
Artist’s comment
Nearby my atelier, a stream has a tributary making the shape of Y.
Then the stream runs with the sharp curve.
Streams and rivers, they flow to not only the fixed and expected direction.
I’m making the prints imagining such a thing.
桃符
Toufu
2015
Noe Aoki
青木野枝の銅版画シリーズ「 Plasmolysis」(プラズモリシス)と木版画シリーズ「桃符」(とうふ)。
「桃符」は6点のカラフルな水性木版と1点の立体的な油性木版からなる木版画シリーズです。
タイトル「桃符」は元々、壁などに貼られることで、災厄を防いだり幸福をもたらす「お札(おふだ)」の一種です。
木版を作ろうとした時に頭に浮かんだ「薄い和紙に明るい色で摺られた軽い感じのもの」というイメージがそのような存在であったため、名付けられました。
作家コメント
アトリエの近くの川が Y 字になっているのだが、思いがけない方に急カーブして流れていっている。
川は、決まったところに流れていくだけではないのだ。
そんなことを思いながら版画をつくっています。
A etching series “Plasmolysis” and a series of woodcut prints “Toufu”.
“Toufu” is a series of six colorful water-based woodcut and one oil-based woodcut that has a relief feeling.
The title “Toufu” is the name of Chinese amulet. They put them on the wall of houses and the around the porches to avoid the evils.
When Aoki started this series of woodcut, she imaged this kind of colorful and thin objects that invite the good luck and happiness.
Artist’s comment
Nearby my atelier, a stream has a tributary making the shape of Y.
Then the stream runs with the sharp curve.
Streams and rivers, they flow to not only the fixed and expected direction.
I’m making the prints imagining such a thing.
黒玉
kurotama
2013
Noe Aoki
エッチングシリーズ『黒玉』は、様々な技法で版画を作ってきた青木野枝の原点回帰とも言うべき表現です。力強くストレートにラインドローイングされた線を、強めに腐食することにより現された形は、立体作品やドローイング、版画における表現の核のようなものを感じさせます。
小ぶりな作品ながらモニュメンタルな雰囲気も持ったエッチングです。
玉曇
tamagumori
2011
Noe Aoki
4年ぶりの版画制作となった、この銅版画シリーズは、長時間かけて銅版を深く腐食させた「ディープ・エッチング」という技法を中心に制作されています。
今までの青木の版画にあった柔らかな空間とは異なり、銅版やインクといった素材の物質感が強く前に出た作品です。
その変化は青木野枝の彫刻作品にも同時に見られます。
銅版画 水天シリーズ
suiten
2007
Noe Aoki
小さい方の13作品は桐箱に納められ、セットとして組まれました。
白玉 玉響
shiratama tamakagiru
2004
Noe Aoki
多くの玉とそれをつなぐ線による表現は彫刻とも相通じるものです。銅版、木版ともにカラフルな作品が多く、明快な表現が目を引きます。
彫刻をつくっていて、
ふとこれはどこかで会ったような、
という気がすることがある。
よく思い出してみると、
版画の中に出てきていたのだとわかる。
それは時を前後して、
いろいろなところに、ふとあらわれるのだろう。
今はそれについて考えたり、ひとつにまとめようとせず、
そのまま混沌としておきたい。
青木 野枝
寒天
kanten
2000
Noe Aoki
その大規模な個展では「寒天」と題された彫刻が発表されました。版画「寒天」はその彫刻と平行して制作され、版画の中に生まれた空間は、それらの彫刻を彷彿とさせます。
また、「寒天6」は、個展記念作品として、目黒区美術館で発表・販売されました。
薬玉
kusudama
1999
Noe Aoki
情景的な空間から、その細部のような画面まで、バリエーション豊かに、カラフルに仕上がっています。
いくつかの作品には、青木が彫刻作品で鉄を切って形を作るときのように、紙を切って木版に貼り付けた、紙版も使われています。
9作品が制作され、4作品はポートフォリオとして組まれました。また最後の2作品は1メートルを超える充実した大型作品となりました。
水冠
suikan
1998
Noe Aoki
深い闇の中に少し光を放つかのように柔らかな立体が静かに立ち上がります。
10作品が制作され、水冠1~5の5作品はポートフォリオとして組まれました。
亀池・蓮池
kameike・hasuike
1997
Noe Aoki
雲垣よりも大画面で、より彫刻の立体性を感じさる力強い表現です。
雲垣
kumogaki
1997
Noe Aoki
ドライポイントを中心とした、柔らかで初々しい線が印象的な作品です。これらの作品はポートフォリオとして組まれました。同時期に銅版画シリーズ『亀池・蓮池』も制作されました。










版画《Offering/Hyogo Ⅰ,Ⅱ》展示風景






















































































































