2006-11-30
今年はほんの数回のホームページ更新にしか手が回らないまま師走になってしまいます。
エディション・ワークスでは、その間に企画・受注共にたくさんの動きがありました。

企画制作としては、
東恩納祐一田中麻記子の、新しい2作家の作品を制作中です。急速に注目度の上がってきているふたりで、来年も様々な媒体での発表が予定されています。その中で版画制作が重要な一角を占められるよう、作家と共に力を注いでいるところです。発表の予定などは順次ご報告いたしますが、制作風景等以下のニュースをご覧下さい。

昨年制作した
山口藍の銅版画2作品は夏以降、東京とロスでの山口藍版画展で引き続き発表され、前川知美のメゾチント作品は12月5日から始まる「若手作家による銅版画展ー日常とその向こうー」(ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション)で、ペインティングと共に展示されることとなりました。
この他、エディション・ワークスに関連する作家の展覧会等、この数ヶ月の間にいくつもあったのですが、ここにご紹介しきれないことをお許し下さい。

また、一つの大きな動きとしては、木版画部門の拡大です。企画、受注共に他の版種と平行して続けてきた木版ですが、昨年あたりからかなり活発化してきています。主だったところで、現代美術では、
加藤美佳の木版・エッチング併用作品、そして青島千穂の極端に色数の多い複雑な木版とリトグラフの併用がありました。そして、歌手・女優であり、30年来の木版画作家ジュディ・オングの100号大の木版画の制作にも携わらせていただいています。その制作風景は、10月29日放送のテレビ東京「ソロモン流」でもご紹介いただきました。
この10年来、版画の世界にもデジタル化の波は大きく押し寄せ、その動き自体は全く弱まる気配はありません。エディション・ワークスでも幅広くデジタル技術を利用していますが、まさに手作りの木版や銅版をはじめとする「版画」は、デジタルの勢いが強くなればなるほど、デジタルでは埋め尽くされない非常に大事な部分を担っていることをますます強く感じており、その良さを引き出していきたいと考えています。

加藤美佳の木版・銅版併用作品の木版部分を刷っているところ。版は、作家自身のアイディアで、杉の丸太の輪切りを使い、その木口を利用する珍しい方法をとった。これらのいくつもの木版を刷った上から、銅版画を雁皮刷りした。
ジュディ・オング「銀閣瑞雪」の制作風景
大型の作品のため二人がかりで墨をおく
余分な墨を拭き取るジュディさん
神経を使いながらも力仕事のバレン作業
刷り上がりをチェックする
足りない部分に墨をさらに加える
後ろに掛かっているのは下絵
版の問題点を検討する
工房・作家ニュース
山口藍 Ai Yamaguchi
ラムフロム・ザ・コンセプトストアでの展示風景
山口藍は活発に活動を続けており、来年以降の予定も目白押しです。
今までに作った版画については、この夏から秋、東京の
ラムフロム・ザ・コンセプトストストアでの「山口藍版画展 ん ~新作を中心に」と、ロス・アンジェルスの Giant Robot の2号店、GR2 での "E no e" の二つの展覧会が開かれ、それぞれ好評を得ました。
新作については計画中で、その一部は次回の更新でご紹介できると思います。
「かがみしぐれ」の制作風景 このように雲形に切った版を5枚用意し、色ごとに刷っていく
東恩納裕一  Yuichi Higashionna
エディション・ワークスにとっては新しい作家、東恩納裕一が版画を制作中です。
まだ制作の全体像が決まったわけではありませんが、現在は銅版画でモノクロームの作品を制作中です。左の画像は銅版画の制作風景です。この写真の作業から、どんな作品が生まれてくるのか全く想像が付かないと思いますが、作品については発表に向けて順次ご紹介して参ります。

最近特に東恩納裕一への注目度は高まっており、美術館、ギャラリーでの展覧会や、ファッション業界とのタイアップも多く組まれています。明日、
12月1日からは東京、丸ビル一階の H.P.FRANCE BIJOUX"mille miroirs" と題されたインスタレーションが始まります。
また、青山の
コム・デ・ギャルソン Dover Street Market Tokyo ではショップ内でのアートワークも見ることが出来ます。
版画を含め、これから先の動向にご注目下さい。
H.P.FRANCE BIJOUX 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F TEL:03-3240-5791
田中麻記子  Makiko Tanaka
ラムフロム・ザ・コンセプトストアでの展示風景 メゾチント制作中
もうひとりの新しい作家、田中麻記子がメゾチントを制作中です。田中麻記子は作家としても新人作家といえる存在ですが、やはりその注目度は上がりつつあります。細部で埋め尽くされ、そして全体が渦巻くような、主に鉛筆を使った作品は不思議な感性で満たされています。
数ヶ月にわたって制作してきた物語性のあるメゾチントは、徐々に完成にむかいつつあります。
赤塚祐二 Yuji Akatsuka
鎌倉画廊での展示風景
another mountain 2006 油彩 227x180cm
                  
                Landscapeの制作風景
Landscape I リトグラフ
鎌倉画廊では12月21日まで赤塚祐二の個展 "another mountain" が開催中です。
具象性と抽象性が層を成して入れ替わるかのような大作の油彩、立体の小作品などと共に、2004年に制作した
リトグラフ3作品 Gate も展示されています。また、今回はオリジナル作品付き限定本 "another mountain" が出版され、販売されています。
鎌倉山の自然に包まれた空間でゆっくりと赤塚祐二の作品に触れてみてください。
鎌倉画廊 神奈川県鎌倉市鎌倉山4-8-33 TEL:0467-32-1499
前川知美 Tomomi Maekawa
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションにおいて12月5日から開催される「若手作家による銅版画 ー日常とその向こうー」前川知美が昨年制作したメゾチント4作品が、ペインティングと共に展示されます。
他の展示作家は浜口陽三と杉戸洋、重野克明、入江明日香です。会期は2月25日までとたっぷりありますので、メゾチントの表現において国内外で高い評価を受けた浜口陽三の作品と、現代の若い作家による銅版画の表現を一緒にお楽しみ下さい。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 東京都中央区日本橋蛎殻町1-35-7 TEL: 03-3665-0251
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これからのホームページ作成や、工房全体の運営方針にも反映させて行きたいと思いますので、ご覧いただいたご感想をお寄せいただければ幸いです。


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